日本データパシフィック株式会社

日本データパシフィック株式会社

〒186-0002 東京都国立市東1ー4ー15国立KTビル
Tel.042-573-6721 Fax.042-573-6728

e-Learningシステム WebClass

日本データパシフィック株式会社 > WebClass TOP > 活用事例 > 岡山大学様

活用事例 ※五十音順

岡山大学様

『WebClass活用事例 岡山大学様』より

岡山大学 様

  • WebClass活用事例 - 反転学習とグループ学習を組み合わせた多人数eラーニング講義の実践 -

1. はじめに

岡山大学では、確実に情報リテラシーを身につけるためのICT教育の実現方法の検討を行っています。その実現のために、解決すべき課題と解決方法を明らかにする必要があります。このため、情報統括センターでは平成26年度前期の「情報処理の基礎」(2コマ)で情報リテラシー講義を試行しました。

2. 情報リテラシー教育の実施

多人数クラスの講義実施では、物理的に利用可能な教室の確保、各学生へのきめ細かい指導の実施、学生ごとの講義による能力向上度合の詳細な把握などの課題を解決する必要があります。これらを解決するためにはICT活用は必須です。実際には、eラーニングによる反転授業の採用と少人数のグループ学習を基本とした講義を試行しました。さらに、学生個人の活動状況を確実に蓄積、評価するためにポートフォリオを導入しました。今回の情報リテラシー講義のカリキュラムを図1に示します。

図1 情報リテラシー講義のカリキュラム
(図1 情報リテラシー講義のカリキュラム)

2.1. 反転学習について

1)環境の構築
反転学習では、学生が自主的に学習するための学習環境と学習成果の的確な評価が必要になります。教科書とeラーニングコンテンツを作成し、学生が教科書とWebページを活用して、講義に先立って自主的に学習を行うことが可能な学習環境を整えました。

2)授業の進め方
全15回の講義のうち、大学の情報環境の説明等の基礎教育を除いた10回で反転学習を実施しました(図1)。反転学習に関する講義の進め方を以下に示します。

  1. 例えば、第3回目の講義で学習するICTテーマを説明する(10分)
  2. 学生は次回の講義までにeラーニング等でテーマに関する学習を行う
  3. 第4回目の講義開始後に小テストを受ける(15分)
  4. 小テストで正答率の低い問題に対して教員による解説を行う(15分)
  5. 学生は自主的に再テストを受ける


小テストは各自、ランダムに出題された15問に解答します。E-Learningシステム“WebClass”で受講するため、学生はすぐにテスト結果を確認することができます(図2)。学生は1回のみ再テストを受けることができます。

図2 小テストの成績
(図2 小テストの成績)

2.2. グループ学習について

毎週、反転学習のために40分、グループ学習のために50分を割り当てています。ただし、講義時間内にグループ学習の成果物を作成することはほぼ困難であり、学生は講義時間外も学習が必須となります。
尚、グループ編成は、5,6名を基本単位としています。

1) テーマの選定
グループ学習では3種類の課題を用意し、1つの課題につき4週利用します。2課題は個人単位、1課題はグループ単位で一つの成果物を要求しました。

<課題>

  1. PowerPointによるプレゼン資料作成(個人単位で作成)
  2. Wordによるレポート作成(個人単位で作成)
  3. 情報リテラシー用eラーニング教材の作成(グループ単位で作成)


2) グループ学習の記録
多人数講義における効率的な成績評価実施方法として、学生の相互評価方式を導入しました。その際、学生の活動状況の可視化とその蓄積、並びに後から学生個人の活動状況を確認できる環境が必要であるため、WebClassのポートフォリオ機能を活用しました。
グループ学習のために以下の機能を活用し、詳細なグループ活動、グループ間の相互評価活動の結果などを蓄積しています(図3)。

 * 会議室機能(掲示板機能):グループ内の活動状況の記録
 * ポートフォリオコンテナ:成果物の提出と、ルーブリックによる成績評価の実施


なお、各グループは会議室機能を用いることで、学生は物理的に集まる必要のない、インターネットを介した仮想協業も可能です。

図3 グループ内活動の記録
(図3 グループ内活動の記録)

3) 成果物の評価
グループ学習では以下のように評価します(図4、図5)。

 * 個人:各自の作成した成果物が優れているか
 * グループ:グループ内でどの程度積極的に参加して活動したか


各グループの活動内容は、大よそ以下の通りです。

  1. 会議室機能を用いて、グループ内での検討内容など議論の様子を記録する。対面での活動の際は議事録等を作成し、保存する。
  2. グループ内のコンテナに成果物を提出し、グループ内での評価を受け、成果物の完成度を高める。
  3. グループ内での活動が終了した場合、最終成果物を外部評価コンテナにアップする。
  4. 外部コンテナの成果物を、指定された外部グループメンバが評価する。
  5. 評価グループメンバ5~6名の評価結果の平均点が各学生の得点として記録されます。評価する際は、指定されたルーブリックを使用します。

評価グループメンバ5~6名の評価結果の平均点が各学生の得点として記録されます。評価する際は、指定されたルーブリックを使用します。

図4 グループ間の相互評価結果
(図4 グループ間の相互評価結果)
図5 ルーブリックの例
(図5 ルーブリックの例)


3. eラーニング講義の実践評価

学生に対してアンケートを実施しました。アンケート結果の一部を以下に示します。

3.1. 学生の学習時間

本講義における各学生の自学習時間のアンケート結果を図6に示します。他の受講科目と比べて本講義は自学習時間が多い、やや多いと感じる学生が60%を超えており、学生には負担が大きい科目と意識されています。しかし、学習時間は小テストで30分程度、グループ学習でも半数が1時間程度であり、十分な学習時間を費やしているとは判断できません。グループ活動の進め方や、学生の自発的なやる気を引き出す小テストの問題、テストの出題範囲の再検討など、更なる学習の高度化に関する対策が必要であると考えます。

図6 学生の個別学習時間のアンケート結果
(図6 学生の個別学習時間のアンケート結果)

3.2. 成績評価に関する意見

多人数講義では、いかに効率的に成績評価を行うかが課題であるため、学生相互評価を実施しました。また、評価の客観性を確保するためにルーブリックを導入しました。しかし、学生が他の学生を評価する経験がないこと、評価に差をつける意識が低いことから、今後はより緻密な相互評価方法を追加する必要があります。また、学生の相互評価に関する意識アンケート(図7)からもルーブリックを活用しつつ、教員の関与を加味する成績評価方法を導入することが必要であると考えます。

図7 相互評価方式に関するアンケート結果
(図7 相互評価方式に関するアンケート結果)

4. 今後の課題

本講義の実施により明確な課題が見つかりました。200名を超える学生が同時にWebClassにアクセスすると、システムでかなり大きな遅延、レスポンス停止が発生します。特にeラーニング環境の充実を望む切実な意見が多数ありました。また、掲示板を用いた学生間のコミュニケーションは最近のLINE(SNS)文化の学生からは不評であり、何らかの対策の検討が必要です。
グループ学習と学生相互の成績評価に関しても、一部学生から正しく評価されていない、十分な時間をかけたのに評価で無視されたなどの意見が寄せられています。各学生の学習状況の可視化をより推進し、学生が納得できる総合的な成績評価方式を実現する必要があります。
解決すべき課題は存在するものの、本講義形式により200名~300名程度の学生に同時に情報リテラシー教育を実施することは可能であると判断しています。

TOP