LMS(学習管理システム)とは?
LMSの意味と活用メリットを解説【初心者向け】

2021.1.6 IT

この記事では、近年需要が高まるLMSについて初心者でもわかりやすいように解説しています。

LMSとは?

LMSはLearning Management Systemの略で、主にブラウザを使ってインターネット越しに学習教材を提供したり、学習したりテストを受けたりするのに使われるシステムです。eラーニングという言葉もありますが、それを実現するシステムと言い換えることもできます。ブラウザを使ったものが多いのは学習者が手持ちのパソコンやスマホで利用しやすいからです。もちろんアプリで使えるものもあり、実際にどのようにして使うかは製品により様々あります。

eラーニングを行う機会としては、例えば企業が社員に研修を受けてもらう時や学校の授業、また資格試験などのテストを受ける時などがあります。研修では動画や説明資料を見たりテストを受けて受講証明書を発行してもらう、授業ではLMSを経由して先生にレポートを提出したり他の受講生とチャットや掲示板で相談する、資格試験のテストでは過去の受講記録や試験回ごとの平均点などが確認できる、など用途に応じて様々な機能や使われ方があります。LMSを利用し学習する側の大まかな利点としては、インターネットが利用できれば場所や時間に縛られずに学習できること、自動採点できるテストでは素早く結果がわかって再チャレンジできること、過去の記録をためておいて確認しやすいことなどがあります。

高等教育でのLMS活用メリット

大学など高等教育でも、学生の利便性や先生の授業運営の支援、特に最近ではオンラインでの授業開講のため、LMSが広く利用されてきています。先生が自分の担当する授業で使うために自分で用意したLMSを利用するケースもありますが、学校で導入してどの授業でも共通のシステムを利用する導入も増えています。学内でLMSを統一することにより、アカウントの認証や開講授業・履修者などの教務情報を他のシステムと連携するなどの学内システム全体の統合でもメリットがあります。

大学内では以下の人々がLMSに関わります。それぞれの立場によって異なるメリットがあります。

■情報センター・システム管理者

授業を行うわけではありませんが、学内の職員・先生・学生が使うシステムを管理します。メールサーバ、カリキュラムや履修・成績を扱う教務システム、利用者のアカウントを一元管理するディレクトリサーバや認証サーバなど、今では多数のシステムを運用されていることが多いと思います。

LMSを利用することは、先生にとっては資料や動画配布をしたりレポートを回収するなどの授業運営を効率化するツールを提供することになります。先生が使ってくれて授業を運営しやすくなれば、学生も授業を受ける上でLMSを活用できるチャンスが増えます。先生と学生への環境提供になるだけでなく、トラブル対応、利用案内や操作説明などの支援ノウハウを一本化することができます。

■FD・IR・教育施作推進チーム

学校の授業をよくするため、学生がより学び身につけていくため、今日では学校での教育・学習を点検して改善していくことの重要性が増しています。そのため、学校ではそれぞれ、何かしらこのような点検や改善を主導する人や組織が置かれているのではないでしょうか。

また、オンライン授業が広まった今では、授業を担当する先生も学生が学習している様子を直接は見えづらくなりました。学校で統一のLMSの利用して学生が学習できれば、従来から行われているような成績データやアンケート調査の分析だけでなく、LMSの履歴から学生の様子をより細かく知る手がかりが得られます。今までもわからなかった学生の様子や傾向を掴んで、よりよい支援に結び付けられることが期待されています。

■先生

これまで授業を教室で行うことがほとんどだった先生にとっては、毎回の授業で大量のプリントを印刷して配布する手間をLMSへの資料ファイルのアップロードに置き換えたり、課題の提出をLMSにすることで採点、提出者や得点の集計などを自動化できるなどのメリットがありました。

今日では必ずしも学生を集めた教室で、目の前で先生が講義をするとは限らなくなりました。LMSは従来からある紙のプリント削減やテストの自動集計という良さだけでなく、非同期で学習をすすめる学生の様子を確認したり、学生によるオンラインでのコミュニケーションを取り入れたりと、実現する授業の幅を広げるために活用されています。

また、オンライン上でのやり取りはリアルタイムで共有することも、そのまま記録として残すこともできます。個別に学生をフォローしたケースも、オンライン上の記録をうまく活かせば、多くの学生がより自主的に学習をすすめることができるのではないでしょうか。

■学生

この1年でオンライン化が進んだため、授業により同じ時間に同じ場所に集まる形式もあれば、時間はあわせるけどオンライン上の教室に全国・世界中から集まる形式、もしくは自分で進めるオンデマンドの形式もあると思います。これらの授業の形式の違いは、直接に会って話したいケース、ビデオチャットで資料を交えながら、もしくは非同期でも良いケースなど、それぞれ学ぶ内容に応じて望ましいテンポや情報量で発信やフィードバックを得られます。このように適切な形で授業が受けられることは、学生にとっても効率的なやりくりがしやすいのではないでしょうか。

また、LMSでは学習を行った記録が電子的に蓄積されるため、これまででは残っていないような細かな履歴や、レポートなどの1つ1つを残すことができます。学習の歩みを振り返る材料になります。